日差しが強くなる季節、私たちの肌を守る必需品「日焼け止め」。
しかし、お気に入りの服にうっかり付けてしまい、シミになって落ちないと悩んだ経験はありませんか?
「黒いTシャツに白い線がくっきり…」「念入りに洗ったはずの白いシャツが、なぜかピンク色に染まってしまった…」
そんな日焼け止めと衣類のトラブルは、実はご家庭での少しの工夫で解決できる場合があります。
この記事では、クリーニングのプロが、ご家庭で実践できる日焼け止めのシミ抜き術を詳しく解説。
さらに、プロに任せるべきケースについてもご紹介します。
目次
日焼け止めが服につくと「落ちにくいシミ」になる理由
日焼け止めが服につくと落ちにくい主な理由は、「油性成分」と「粉末(顔料)成分」という、性質の異なる汚れが混ざり合うことで、通常の洗濯だけでは「落ちにくいシミ」となってしまいます。
紫外線カット成分(油性)
紫外線吸収剤や紫外線散乱剤といった成分は、油に溶ける性質を持っています。
これらが繊維の奥深くまで染み込むと、通常の水洗いだけでは弾かれてしまい、簡単には落とせません。
メイクのファンデーションが水だけで落ちないのと同じ原理です。
酸化チタン・酸化亜鉛(粉末)
紫外線を反射させるための白色の粉末です。
非常に細かい粒子が繊維の隙間に入り込み、絡みついて取れにくくなります。
【素材別】日焼け止めのシミをきれいに落とす洗濯術
服の素材によって、日焼け止めのシミの落とし方は異なります。
必ず衣類の洗濯表示を確認してから、下記の方法を試してみてください。
綿・麻素材に日焼け止めが付いた場合
綿や麻は比較的丈夫な素材なので、油汚れに強い食器用洗剤(中性)が効果的です。
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1.水で少し濡らした状態でシミ部分に食器用洗剤を塗布する
食器用洗剤に含まれる界面活性剤の力が、日焼け止めの油性成分を分解します。
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2.歯ブラシなどで優しく叩き込む
生地を傷めないように、シミの外側から内側に向かってトントンと軽く叩くようにして洗剤を繊維の奥に浸透させます。
※強く擦ると生地を傷つけたり、シミを広げたりする原因になるため避けましょう。
※色の濃い服の場合は、色落ちしてしまう可能性があるため、目立たない所で試してから行いましょう。
色落ちしてしまう場合は、無理にご自身で行わずに、クリーニング店に相談しましょう。 -
3.40℃程度のぬるま湯で洗い流す
熱すぎるお湯は油分を固めてしまう可能性があるため、40℃程度のぬるま湯で、洗剤成分をしっかりと洗い流します。
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4.通常通り洗濯する
他の洗濯物と一緒に洗濯機で洗ってください。
ポリエステル・ナイロンなどに日焼け止めが付いた場合
化学繊維は熱に弱いものもあるため、慎重な対応が必要です。
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1.おしゃれ着用洗剤(中性)をシミに直接塗布する
生地への負担が少ないおしゃれ着用洗剤(中性)を選びましょう。
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2.指で優しく揉み込むか、布で押さえる
生地を傷つけないように、指の腹でそっと優しく馴染ませるか、清潔な布で押さえるようにして洗剤を浸透させます。
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3.40℃程度のぬるま湯で洗い流す
熱すぎるお湯は油分を固めてしまう可能性があるため、40℃程度のぬるま湯で、洗剤成分をしっかりと洗い流します。
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4.洗濯ネットに入れて洗濯する
型崩れや摩擦を防ぐため、必ず洗濯ネットに入れてから、洗濯機の「おしゃれ着コース」や「ドライコース」などで洗いましょう。
シルク・ウールなどのデリケート素材に日焼け止めが付いた場合
シルク、ウール、レーヨンといった水に弱いデリケートな素材は、ご家庭でのシミ抜きは失敗のリスクが非常に高く、推奨しません。
繊維を傷めたり、縮みや輪ジミになったりする可能性が高いため、ご自身で無理に処理しようとせず、できるだけ早くクリーニング店に相談することをおすすめします。
【ご家庭で試す場合の注意点】
もしご家庭で試される場合は、以下の点に留意し、目立たない所で試すなど、慎重に行ってください。
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1.シミ部分に中性洗剤を薄めて塗布する
直接原液をつけずに、水で薄めた中性洗剤を使いましょう。
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2.清潔な白い布で軽く叩くように吸い取る
摩擦は生地を傷める原因になるので、シミを布に吸い取らせるイメージで優しく叩きます。
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3.水で濡らした布で洗剤を拭き取る
洗剤成分が残らないように、丁寧に拭き取ります。
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4.風通しの良い場所で陰干しする
直射日光は避け、形を整えてから干しましょう。
素材に合わせてシミ抜きと早めの対応がきれいに落とすコツです。
日焼け止めを塗った日の服は、その日のうちに衣類のチェックをしてシミを見つけたら適切に対処しましょう。
日焼け止めの種類別!落とし方のコツと洗濯方法
日焼け止めには、クリームタイプ、ジェルタイプ、スプレータイプなどの種類があり、それぞれ落とし方のコツがあります。
クリーム・乳液タイプの日焼け止めが服についた場合
油分が多く、服にべったりと付きやすいのが特徴です。
前述の素材別の落とし方で紹介した、食器用洗剤やおしゃれ着用洗剤を直接塗布する方法が効果的です。
ジェルタイプの日焼け止めが服についた場合
さらっとしていますが、こちらも油性成分が含まれています。
シミが目立たなくても、放置せずに早めに対応をしましょう。
クリームタイプと同様に、洗剤の直接塗布が有効です。
スプレータイプの日焼け止めが服についた場合
気づかないうちに広範囲に付着していることが多いのが特徴です。
広範囲に薄くついている場合は、プレウォッシュ剤(襟袖用洗剤など)を全体にスプレーしてから洗濯すると良いでしょう。
シミが濃い場合は、部分的に洗剤の直接塗布が有効です。
白い服がピンクに?!日焼け止めのシミが変色してしまった場合の対処法
日焼け止めを塗った日の白い服を洗濯したら、「ピンクやオレンジ色に変色してしまった」という経験はありませんか?
これは、日焼け止めに含まれる一部の紫外線吸収剤が、洗濯洗剤に含まれるアルカリ剤や、水道水に含まれる微量の塩素に反応して起こる化学変化です。
日焼け止めのシミが変色してしまった時の対処法
もし白い服がピンクに変色してしまった場合は、以下の方法を試してみてください。
【重要】塩素系漂白剤は絶対に使用しないでください!
最も大切な注意点は、変色した部分に絶対に塩素系漂白剤を使用しないことです。
塩素系漂白剤に反応すると、さらに色が濃くなったり、生地を傷めてしまったりする可能性があります。
日焼け止めによる変色には「酸素系漂白剤」のつけ置き洗い
変色してしまったシミには、酸素系漂白剤が有効です。
色柄物にも使えるタイプであれば、白い服にも安心して使用できます。
酸素系漂白剤のつけ置き洗い
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1.つけ置き液を作る
洗面器などに40℃~50℃のお湯を張り、規定量の酸素系漂白剤(粉末タイプがより効果的)をよく溶かします。
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2.30分~1時間つけ置き
ピンクやオレンジなどに変色した衣類をつけ置きします。
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3.よくすすいでから通常洗濯
つけ置き後、水でよくすすぎ、その後いつも通り洗濯機で洗います。
※漂白剤の取扱説明書をよく読み、指示に従って使用しましょう。
漂白剤で落ちない場合はクリーニング店へ
酸素系漂白剤を試しても変色が改善されない場合や、大切な衣類の場合は、無理せずプロであるクリーニング店に相談しましょう。
専門的な知識と技術で、シミ抜きを行ってくれる可能性があります。
依頼する際は、「日焼け止めのシミが変色してしまった可能性がある」ことを明確に伝えましょう。
このように、ピンクやオレンジ色に変色したシミは、原因と正しい対処法を知っていれば、きれいに元に戻せることも多いので、焦らず、落ち着いて対処してください。
日焼け止めが服につかないようにするための対策
日焼け止めが崩れやすかったりする場合でも、事前に少しの工夫で服への付着を抑えられます。
塗るタイミングと乾燥を意識する
日焼け止めを塗る最適なタイミングは、服を着る前です。
特にクリームや乳液タイプは、肌に塗ってからすぐに服を着ると摩擦で服に付着しやすくなります。塗った後は、2〜3分程度しっかりと乾かす時間を取りましょう。肌がサラッとしてから服を着ることで、服への色移りを防げます。
服を着た後に塗る場合は、クリームなどが垂れないように気をつけましょう。
スプレータイプは屋外で、服から離して使う
手軽なスプレータイプの日焼け止めは便利ですが、広範囲にミストが広がるため、気づかないうちに服にかかっていることがあります。
使用する際は、必ず屋外で、服から十分離して吹きかけるようにしましょう。
特に風の強い日は注意が必要です。
可能であれば、肌に直接スプレーするのではなく、一度手に取ってから塗るのも効果的です。
べたつきにくい製品や透明タイプを選ぶ
最近の日焼け止めは、使用感のバリエーションも豊富です。
もし服への付着が気になる場合は、べたつきが少ないジェルタイプや、サラッとした仕上がりの製品を選んでみましょう。
また、白色顔料の少ない透明タイプや、色移りしにくいと明記されている製品を選ぶのも賢い選択です。
外出先での「塗り直し」は要注意!UVカットグッズも賢く活用
服を着た状態で日焼け止めを塗り直すと、手が服に触れてそのまま付着してしまうことがあります。
長時間の外出などで塗り直しが必要な場合は、UVカットパウダーやUVカットアームカバー、日傘、帽子などの物理的な対策もおすすめです。
持ち運びにはポーチや袋に入れる
カバンの中で日焼け止めのキャップが緩み、中身が漏れて服に付着してしまうケースもあります。
持ち運びの際は、必ずキャップがしっかり閉まっているか確認し、できればビニール袋や専用のポーチに入れてから、カバンに入れるようにしましょう。
家庭で落ちない日焼け止めのシミは?クリーニング店に頼むべきケース
ご家庭での洗濯で日焼け止めのシミが落ちない場合や、大切な衣類の場合は、無理せずクリーニング店に依頼することも検討しましょう。
クリーニング店への依頼がおすすめのケース
- デリケートな素材
- シルク、ウール、レーヨン、アセテートなど、家庭での洗濯が難しい素材の衣類。
- 時間が経ってしまったシミ
- 1週間以上経過した場合など付着から時間が経つと、シミは酸化して定着し、落としにくくなります。
- 広範囲にわたるシミや輪ジミになってしまったもの
- 家庭での処理は難しく、かえってシミを広げてしまう可能性があります。
- 色柄物や色落ちしやすい衣類のシミ
- ご家庭での処理で色落ちや色移りのリスクがあります。
クリーニング店では、シミの種類や素材に合わせて専門的な技術や薬剤を使用するため、きれいにシミを落とせる可能性が高いです。
依頼する際には、「日焼け止めによるシミです」と伝えましょう。
シーズンオフの衣類ケアで、来シーズンも気持ちよく
一見きれいに見えても、繊維の奥に落としきれなかった日焼け止めや皮脂汚れは、保管中に酸化して黄ばみやニオイ、シミの原因になることがあります。
特に大切な衣類は、シーズンの終わりにクリーニング店で適切にケアすることで長持ちさせることができます。
もし、「時間がない」「衣類がかさばって持ち込むのが大変」という場合には、玄関先で完結する宅配クリーニングサービスの利用も便利です。
さらに、クリーニング店の保管サービスを利用すれば、湿度や温度が管理された適切な環境で次のシーズンまで衣類を預けられ、カビや虫食いの不安も解消できます。
夏の汚れをしっかり落として、来シーズンに備えましょう。
まとめ:日焼け止めのシミは早期対処がカギ!
服についた日焼け止めのシミは、その成分と素材の特性を理解して適切に対処すれば、ご家庭でもきれいに落とすことが可能です。
- ・シミは早期に発見し、できるだけ早く対処することが重要です。
- ・素材を確認し、適切な洗剤を選びましょう。
- ・油性成分を分解するには、食器用洗剤やおしゃれ着用洗剤が効果的です。
- ・白い服がピンクに変色しても、慌てず酸素系漂白剤を試しましょう。
- ・デリケートな素材や落ちにくいシミは、無理せずクリーニング店に相談しましょう。
ご家庭でのケアを基本としながら、難しいケースではクリーニング店も上手に活用して、この夏もお気に入りのファッションを思いっきり楽しんでくださいね。
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監修者情報
本記事は、クリーニング専門店「フランス屋」のコラム編集部監修のもと執筆されています。長年のクリーニング経験を生かし、正確で実践的な情報を提供しています。
- 運営会社
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