「お気に入りの服を長く大切に着たい」「洗濯によるダメージを最小限に抑えたい」 そんな時に活躍するアイテムが洗濯ネットです。
なんとなく使っている方も多いかもしれませんが、洗濯ネットを正しく使うことで、衣類の寿命は大きく変わってきます。
本記事では、洗濯のプロが実践している洗濯ネットの効果的な使い方、最適な選び方、そして知っておきたい注意点まで、洗濯ネットを最大限に活用するための情報を解説します。
目次
洗濯ネットが衣類を守る6つの効果
まずは、洗濯ネットがもたらす基本的なメリットをおさらいしましょう。
(1)衣類の傷み・型崩れの防止
洗濯機の中では、衣類同士が絡まったり、洗濯槽と擦れたりすることで、ダメージを受けています。
特に、レースやシルク、カシミヤといった繊細な素材や、ビーズやスパンコールなどの装飾が付いた衣類は注意が必要です。
洗濯ネットに入れることでクッションとなり、これらの衝撃から衣類を優しく守ります。
セーターの伸びやブラウスの型崩れを防ぎ、美しいシルエットを保ちます。
(2)毛玉・毛羽立ち・ほつれの発生を抑える
ニット製品の悩みの種である毛玉や、タオルのごわつきの原因となる毛羽立ち。
これらは主に摩擦によって発生します。
洗濯ネットに入れることで、他の衣類との摩擦を抑え、新品のような風合いを長持ちさせることができます。
(3)ホコリ・糸くずの付着をブロック
濃い色のTシャツを洗ったら、他の衣類の白い糸くずがたくさん付いてしまった…という経験はありませんか?
洗濯ネットは、こうした糸くずフィルターの役割も果たします。
黒やネイビーの衣類、起毛素材の衣類を洗う際には特に効果的です。
(4)小物類の紛失・絡まり防止
靴下やストッキング、手袋などは、洗濯中に他の洗濯物と絡まったり、洗濯槽の隙間に入り込んだりすることがあります。
まとめてネットに入れることで、迷子になるのを防ぎ、伸びや引っ掛かりからも守れます。
(5)洗濯効率の維持と向上
「洗濯ネットに入れると汚れ落ちが悪くなるのでは?」と心配される方もいますが、衣類に合った適切なサイズのネットを選び、たたんで入れれば問題ありません。
むしろ、衣類が絡まないことで洗濯槽内の水の流れがスムーズになり、洗剤が均一に行き渡るため、すすぎ効率もアップします。
(6)色移り・色落ちの予防
色移りや色落ちが気になる衣類に関しても、洗濯ネットは効果的です。
洗濯ネットに入れることで衣類同士の摩擦が減り、色移りを防げます。
また、水流によるダメージも和らぐため、色落ちの予防にもなります。
用途別!衣類に合わせた洗濯ネットの選び方
洗濯ネットの効果を最大限に引き出すには、「衣類に合ったネットを選ぶ」ことが何よりも重要です。
チェックすべきポイントは「目の粗さ」「形状・サイズ」「素材」の3つです。
ここではプロがおすすめする選び方のポイントを解説します。
ポイント1:目の細かさで選ぶ
【目が細かい洗濯ネット】
レース、ランジェリー、ストッキング、ブラウスなど装飾がある服におすすめです。
糸くずの侵入をしっかり防ぎ、摩擦からデリケートな素材を優しく守ります。
ただし、水の通りはやや悪くなるため、ひどい汚れには不向きです。
【目が粗い洗濯ネット】
Tシャツ、Yシャツ、ニット、スラックス、タオルなどにおすすめです。
水の通りが良く、洗剤液がしっかりと浸透するため、汚れを落とす効果が高いのが特徴です。
衣類を保護しつつ、普段着をさっぱりと洗い上げたい時に最適です。
ポイント2:形状とサイズで選ぶ
サイズは衣類がネットの中で泳ぎすぎない、かつ窮屈すぎないものを選びましょう。
たたんだ衣類がぴったり収まる大きさがおすすめです。
大きすぎると摩擦が増え、小さすぎると汚れ落ちが悪くなる原因になります。
角型ネット(平型ネット)は型崩れ防止に強い
マチのない角型のネットは Tシャツ、ブラウス、セーターなどをたたんで入れるのに適しており、型崩れ防止に効果的です。
ネットの中で衣類が動き回らないため傷みにくい一方、形が固定されることで内部の汚れが落ちにくい場合もあります。
小型や仕切り付きの洗濯ネットは紛失防止におすすめ
靴下、ハンカチ、マスクなど、小さなアイテムの洗濯時の紛失防止に役立ちます。
いくつかのポケットに分かれているタイプの洗濯ネットも便利です。
ポイント3:素材で選ぶ
一般的な洗濯ネットはポリエステル製がほとんどですが、中にはクッション性を高めた厚手のものや、衣類に優しい柔らかな素材のものもあります。
特に、乾燥機まで使いたい場合は「乾燥機対応」と明記された、熱に強いポリエステル素材のものを選びましょう。
安価なネットの中には、高温でファスナー部分が破損したり、ネット自体が縮んだりするものもあるため注意が必要です。
【早見表】洗濯ネットの選び方
下記表は一例です。実際の衣類の素材によって洗濯ネットの目の粗さを選択してください。
衣類の種類 | おすすめのネット |
---|---|
Yシャツ、Tシャツ | 角型・目が粗い |
セーター、カーディガン | 角型・目が細かい |
ブラウス、ランジェリー、ストッキング | 角型 or 立体型・目が細かい |
ブラジャー(ワイヤー入り) | 専用の立体型 |
デニム、スラックス | 角型 or 筒型・目が粗い |
靴下、ハンカチ、マスク | 小型・目が粗い or 細かい |
効果を最大化する!洗濯ネットの正しい使い方
適した洗濯ネットを選べたら、次は洗濯ネットを使った洗い方です。
洗濯ネットの使い方
適切な方法で使用することで、洗濯ネットの効果を最大限に引き出せます。
洗濯表示を必ず確認する
まずは基本です。「水洗い不可」や「ドライクリーニング推奨」の表示がある衣類は、ネットに入れても家庭では洗えません。
無理に洗うと縮みや風合いの変化など、取り返しのつかないことになる可能性があります。
ネット1枚につき衣類は1着
詰め込み過ぎは厳禁です。
汚れが落ちにくくなるだけでなく、ネットの中の衣類が擦れて痛む原因になります。
たたむ時の「ひと工夫」で洗浄力アップ
汚れが気になる襟や袖口、シミの部分などが外側にくるようにたたむのが基本です。
Yシャツ、ブラウス、ポロシャツ、Tシャツなどは、汚れた面を外側にして数回折る「蛇腹(じゃばら)たたみ」に、ニットはふんわりと「ロール状」に丸めるのがコツ。
こうすることで、ネットの中で衣類が偏らず、洗剤液がムラなく行き渡り、全体の汚れ落ちが向上します。
プリントTシャツや刺繍、装飾のある衣類は裏返してネットに入れると、プリントの剥がれや装飾の傷みをさらに防ぐことができます。
衣類のファスナーやボタンは全て閉める
衣類自体のファスナーやホック、ボタンは全て閉じてからネットに入れます。
型崩れを防ぎ、他の衣類への引っ掛かりを防ぎます。
洗濯ネットのファスナーはカバーまできっちり閉める
洗濯中にファスナーが開いて衣類が飛び出さないよう、端のゴム製カバーまできっちりと閉めましょう。
洗濯槽に入れる順番も重要!洗濯ネットは最後に
特に縦型洗濯機の場合、底にあるパルセーター(回転羽根)の近くは水流が最も強く、衣類への負担が大きくなります。
デリケートな衣類を入れた洗濯ネットは、他の洗濯物を入れた後、一番最後(上の方)に置くように投入しましょう。
これにより、強い水流による型崩れや不要なシワの発生を効果的に軽減できます。
洗濯ネット使用時の注意点
洗濯ネットをより効果的に、安全に使うための注意点を解説します。
洗濯ネット自体も定期的に洗い清潔に保つ
洗濯ネットも使っているうちに、洗剤カスや汚れ、カビが蓄積することがあります。
ネットが汚れたままでは、衣類に臭いが移ったり、洗浄効果が落ちたりする原因になります。
定期的にネット自体を洗い、清潔を保ちましょう。
洗濯ネットの交換タイミング
洗濯ネットは消耗品です。破れやほつれが出てきた洗濯ネットは、衣類を傷つけたり、ネットから内容物が飛び出したり、ネットが絡まるなどトラブルの原因になります。
定期的にネットの状態を点検して、劣化が見られたら早めに交換しましょう。
以下のようなサインが見られたら、衣類を守るためにも交換を検討してください。
- ファスナーがスムーズに動かない、破損している
- ネット生地が薄くなったり、ゴワゴワしている
- 縫い目のほつれや、生地に穴が開いている(もしくは、開く手前)
- 黒い点々(カビ)が洗っても落ちない
長持ちさせるためにも、使用後は他の洗濯物と一緒に干して、しっかり乾かしましょう。
乾燥機の使用は取り扱い説明書を確認
洗濯ネットの中には、高温の乾燥機に対応していない素材や形状のものもあります。
高温で変形や縮みが起こる可能性があります。
乾燥機で使いたい場合は、必ず製品の表示を確認して、「乾燥機対応」と記載されているものを選びましょう。
洗剤の種類と洗濯ネットの相性
柔軟剤や漂白剤の中には、洗濯ネットの素材によっては劣化を早める成分が含まれる場合があります。
特に記載がなければ問題ありませんが、気になる場合はメーカーの取扱説明を確認しましょう。
過信は禁物!洗濯表示とコース選びも重要
洗濯ネットに入れても、すべての汚れやダメージを完全に防げるわけではありません。
衣類の洗濯表示をしっかり確認し、衣類に合った洗濯コース(おしゃれ着コース、手洗いコースなど)や洗剤選びを組み合わせることが、衣類を長持ちさせる上で最も重要です。
あなたは大丈夫?洗濯ネットのNGな使い方
誤った使い方をしていると、せっかくの洗濯ネットの効果が半減してしまいます。
心当たりがないかチェックしてみましょう。
洗濯ネットに衣類を詰め込みすぎる
状況に応じて何枚も入れたくなる場合もありますが、これでは水や洗剤が十分に衣類に行き渡らず、汚れ落ちが悪くなります。
また、衣類が洗濯ネット内で圧迫されることで、摩擦が増えて傷みやすくなってしまいます。
衣類のサイズや種類に合わない洗濯ネットを使う
小さすぎるネットは衣類がシワになり型崩れの原因に。
大きすぎるとネット内で衣類が動きすぎてしまい、保護効果が弱まってしまいます。
ファスナーやボタンを閉じずに洗う
洗濯ネットのファスナーが完全に閉じていない状態だと、洗濯中にネットが開いて中の衣類が飛び出したり、他の洗濯物や洗濯槽に引っかかって傷ついたりする恐れがあります。
衣類自体のファスナーやボタンも閉じましょう。
目の粗さが衣類に合っていない
デリケートな衣類に目の粗いネットを使うと、十分な保護効果が得られず、適切なネット使用時よりも傷みやすくなります。
用途に応じて適切な目の細かさのネットを選びましょう。
洗濯ネットを長期間洗わず使い続ける
洗濯ネット自体に汚れやカビが蓄積し、逆に衣類に汚れや臭いが移る原因になります。
定期的に状態をチェックし、ネット本体の洗濯や乾燥、交換を行い、良い状態の洗濯ネットを使用しましょう。
損傷のある洗濯ネットを使用する
破れやほつれのある洗濯ネットを使うと、洗濯中に中の衣類が飛び出したり、ネットの破損部分から他の衣類が入り込んで絡まったりする可能性があります。
損傷が見られたら新しいものに交換しましょう。
「洗濯ネットに入れれば全て安心」と過信する
洗濯ネットはあくまで傷みを軽減するための補助的な役割で、傷みや色移りを完全に防ぐものではありません。
衣類の洗濯表示を最優先し、「おしゃれ着コース」や「手洗いコース」を選ぶ、色柄物を分けるなど、基本的な洗濯ルールを守ることが大前提です。
まとめ
洗濯ネットは、手軽に使える便利なアイテムですが、正しく使うことで本来の効果を最大限に発揮できます。
選び方や使い方、注意点をしっかり押さえることで、お気に入りの衣類を長く、きれいに保つことができます。
洗濯ネットを使用しても家庭の洗濯機で洗えない「水洗い不可」の表示があるデリケートな素材の衣類(シルク、カシミヤ100%、レーヨン、キュプラ、革製品など)は、無理せずクリーニング店にご相談ください。ご家庭で誤った対応をすることで縮みや風合いの変化といったトラブルの原因となり、一度傷んでしまうと、元に戻すのは難しくなってしまいます。
今回ご紹介したポイントを押さえて、洗濯ネットを有効に活用してください。
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監修者情報
本記事は、クリーニング専門店「フランス屋」のコラム編集部監修のもと執筆されています。長年のクリーニング経験を生かし、正確で実践的な情報を提供しています。
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